■J1勢を「5試合連続」で撃破
ヴァンフォーレ甲府は1965年誕生の「甲府クラブ」が1999年にプロ化した、創立60年の歴史を誇る「還暦クラブ」である。「ヴァンフォーレ」はフランス語で「風」と「林」を意味し、「はやきこと風のごとく、しずかなること林のごとく、侵掠すること火のごとく、動かざること山のごとし」という戦国武将・武田信玄の旗印の言葉をモチーフにしていることはよく知られている。
「甲府クラブ」時代から大企業をバックにしたチームではなく、地域に支えられたクラブチームだった。日本サッカーリーグ時代には2部から昇格することはなく、1999年に加盟したJリーグでも、以後27シーズンのうちJ1でプレーしたのはわずか8シーズン。19シーズンをJ2で過ごしてきた。だが、吉田達磨監督の下、2022年度の天皇杯全日本選手権ではJ1勢を5試合連続で倒して見事優勝を飾ったのである。J2クラブの天皇杯優勝は、2011年度のFC東京に次いで2回目だった。