■栄光を永遠に残すために「三角形」に

 ともかく、FAカップというイングランド最高のタイトルを手中にしたカーディフは、この栄光を永遠に残そうとした。何より、同じ南ウェールズのライバルであるスウォンジー・タウン(現在の名称はスウォンジー・シティ)との対戦のときにカーディフの偉業を見せつけてやろうと、次シーズンからコーナーフラッグを三角形に変えたというのだ。それ以来、「FAカップ優勝チームはコーナーフラッグを三角形にできる」という「伝説」が出来上がったという。

 この「伝説」がイングランドでも多くの人に知られるようになったのは、1997年に封切られて英国でヒットした『ツイン・タウン』という映画だったと言われている。映画のなかで冗談ばかり言い合っている兄弟がこの話をしたのだ。以後、イングランドでもFAカップ優勝経験のあるいくつかのクラブがコーナーフラッグを三角形にして話題になった。

 しかし実際には、FAカップの大会規約にはこんな決まりはなく、これは単なる「都市伝説」にすぎないらしい。サッカーのルールにも、フラッグの形に関する記述はない。「三角形のコーナーフラッグ」は、クラブの役員やテクニカルスタッフではなく、スタジアムを管理するスタッフの判断で行われてきたことのようだ。

(2)へ続く
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