■大きな転換期となった「6試合」

 さて、世界の多くのメディアがファーガソンを「史上最高の監督」に挙げる中、リヌス・ミケルスをナンバーワンと認定したのが、2019年の『フランス・フットボール』誌である。ミケルスは自分がプレーヤーとしても活躍したアムステルダムのクラブ・アヤックスを育て、1974年ワールドカップではアヤックスを中心としたオランダ代表を率いてセンセーションを巻き起こした監督だ。

 タイトルの数はファーガソンには遠く及ばない。しかし、1974年ワールドカップの1次リーグ3試合、2次リーグ3試合の合計6試合で見せたサッカーは、サッカー史の大きな転換期となった(西ドイツとの決勝戦では、なぜかその力を発揮しきれなかった)。

 アヤックスをオランダ・チャンピオンに育て、欧州チャンピオンズカップ(現在のUEFAチャンピオンズリーグ)でも優勝させた。そして、スペインのFCバルセロナや西ドイツの1FCケルンでもタイトルを獲得した。1988年には、オランダ代表を欧州選手権優勝に導いた。しかし、1974年、6月15日にハノーファーで始まり、7月3日のドルトムントまで続いた19日間のオランダ代表の6試合こそ、サッカー史に不滅のものだった。そして、そのチームを率いたリヌス・ミケルスという監督の名は永遠のものとなった。

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