■パスの技術は「一級品」だったが…
この場面でのグスタフソンの動きに、僕はかなり驚いた。
グスタフソンは、スコルジャ監督が退任した後、後任としてやってきたペア=マティアス・ヘグモ監督が連れてきた選手である。スウェーデン代表歴があり、ミドルレンジのパスがうまい選手で、ヘグモ監督の下ではボランチとして絶対の存在となっていた。
たしかに、パスの技術は一流品だった。
だが、中盤の底にどっしり構えてパスを使ってチームを動かそうとする、かなりクラシックなスタイルのMFであり、チームにモビリティー(攻撃の活動性)をもたらすことができなかった。
対戦相手に対する「対策」がうまいのがJリーグというリーグだ。
当然のように、どのチームも浦和が必ずグスタフソン経由でボールを動かすのを見越して、グスタフソンにプレッシャーをかけてボールを奪おうとしたし、グスタフソンの両脇のスペースが狙われた。
そんなグスタフソンのプレー、あるいはヘグモ監督の戦術が2024年シーズン前半の浦和の失速を招いてしまった原因の一つだったことは間違いない。
そのグスタフソンも、今シーズンはスコルジャ監督のサッカーの中で動きを入れるようになっていた。だが、そのグスタフソンがパスを出した後、足を止めることなく走って、相手のボックス内の「ポケット」を取るようなプレーを見せたのだ。
昨シーズンのグスタフソンからは、考えられないような動きだった。