■広島と鹿島は重要な時期に

 開幕5戦無敗と好発進しながら直近4戦を2勝2敗と勝ち切れていない広島、4月に入ってから公式戦4連敗という予期せぬ苦境に陥っている鹿島も大型連休に向かっていくここからが正念場となりそうだ。
 まず広島だが、やはり最大の懸念材料は得点力不足。期待の新エース・ジャーメイン良がまだ1ゴールにとどまっており、他のアタッカー陣も加藤陸次樹、ヴァレール・ジェルマンが無得点、新加入の前田直輝が1点、大卒新人の中村草太が2点。突出した得点源の不在が重くのしかかっている状況だ。
 それを早急に打破し、確実に勝ち切れる状況を作っていかないと、悲願のJ1タイトル奪回は見えてこない。トルガイ・アルスランと中島洋太朗の長期離脱を嘆く声も聞こえてくるが、今いない選手のことを考えても仕方ない。現有戦力で何とか乗り切っていくしかない。就任4年目のミヒャエル・スキッベ監督も策を巡らせているはず。今こそ手腕が問われそうだ。
 一方の鹿島も4月20日の次戦・ファジアーノ岡山戦が極めて重要な節目になりそうだ。今季J1初参戦の岡山は堅守が売りのチーム。彼らに対してレオ・セアラと鈴木優磨という絶対的2トップが確実に点を取ったうえで、最近失点の増えている守備陣が手堅い守備を取り戻すことができれば、4月初勝利、そして再浮上の道も見えてくる。
 常勝軍団復活を賭けて名将・鬼木達監督を招聘した今季だが、すでにYBCルヴァンカップで敗退。タイトルを1つ失っている。だからこそ、J1は再浮上がマスト。このまま停滞が続くようだと外野からの雑音も大きくなると見られるだけに、今、踏みとどまらなければいけないのは事実だ。
(取材・文/元川悦子)
(後編へつづく)

(2)へ続く
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