■渡邊凌磨と松尾佑介がもたらす前向きな変化

 前向きな変化のきっかけと言えるのが、渡邊凌磨のケガからの復帰と松尾佑介の1トップ起用だろう。スピードに秀でた松尾が最前線に陣取ることでより裏を意識したタテに速い攻めが増え、そこに渡邊らがうまく絡んでいる。京都戦でもこの2人に金子拓郎、安居海渡らが絡みながら流動的なパス交換が見られるなど、序盤の浦和にはなかった小気味いい攻めが増えてきた。
「松尾が1トップになってからは、スピードを生かした背後を取る動きに対してのボールを出せてますし、プレスのかけ方も全員で連動している。行くところ行かないところの判断ってのもいいと思う。全体の距離感もよくなっていますね」と金子も前向きにコメントしていたが、その松尾が2戦連発で新たな得点源になっているのは朗報だ。
 そのうえで、安居とサミュエル・グスタフソンの両ボランチの関係性も向上。京都戦の渡邊の2ゴール目は安居とグスタフソンのワンツーから背番号13にラストパスが通っており、中盤の選手がギャップを突いて前線に入り込むようなダイナミックさも見て取れるようになっている。そういったプレーがもっと増えてくれば、得点力も確実にアップするはず。ようやく彼らは上位浮上への足掛かりを築いたと見ていいだろう。

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