
ニルス・ニールセン監督率いるサッカー日本女子代表「新生なでしこジャパン」が、国内初戦となるコロンビア代表との親善試合で引き分けた。ランキングで差のある格下相手のドローを、どうとらえるべきか? サッカージャーナリスト後藤健生が徹底検証する!
■攻撃を活性化した「トップに入った」20歳
この試合の結果だけを考えるのなら、ニールセン監督の交代策は失敗だった。
だが、この試合は親善試合だ。ニールセン体制は、2027年の女子ワールドカップと2028年のロサンゼルス・オリンピックを目指して始動したばかり。現段階の監督の意図は、なによりも多くの選手を起用して能力や特性を見極めることだ。
そんな日本代表にとって明るい材料となったのは、41分に故障した田中美南に代わってトップに入った松窪真心が攻撃を活性化させたことだろう。
昨年開催されたU-20女子ワールドカップのメンバーだった20歳。田中と違って、中盤に下りてくることはなく、左右のスペースを見つけて、そのスペースに入り込んでパスを引き出すことによって日本の攻撃を活性化させた。前線でボールを収める技術を持ち、また、155センチと小柄ながら体幹の強さがあるので、競り合いでも負けていなかった。
ニールセン監督は、右サイドバックでは19歳の古賀塔子を先発起用したし、田中が故障するとすぐに松窪を投入。さらに、ハーフタイムには左サイドバックの北川ひかるがプレー続行できなくなると、やはり昨年のU-20代表で活躍した佐々木里緒を投入。
そうした若手選手が力を発揮できたことこそが、この試合の最大の収穫だった。