【J1清水の若き俊英が、苦杯のダービーで得たもの(1)】小竹知恩が見せた違いを作り出すスペシャリティぶり。さらなる大きなチャンスを掴みきれなかったことでの期待の画像
清水エルパルス 撮影:中地拓也

 まさしく電光石火のサイド突破だった。アウェーの清水エスパルスのボールでスタートした、ジュビロ磐田との静岡ダービー。中盤のつなぎから右シャドーの中原輝が絡み、自陣深くに戻されたボールを右センターバックの大畑凜生が、右足のロングフィードを前線のアフメド・アフメドフに当てる。磐田センターバックのリカルド・グラッサと競り合ったボールが右手前にこぼれると、右ウイングバックの小竹知恩が相手より先に追い付き、中原にヘッドパス。そこからリターンを受けて、タッチライン側で前を向いた。

 小竹には磐田の左サイドバックである為田大貴がチェックに来たが、小竹はトリッキーなタッチで中原に戻し、前に加速する。中原が鮮やかなターンからグラウンダーの縦パスを出すと、小竹は持ち前の爆発的なスピードで磐田ディフェンスの外側を破り、ノートラップで右足クロスを上げた。ボランチからワイドカバーに来た金子大毅の懸命のスライディングも破る形でゴール前に上がったクロスボールを上夷克典との駆け引きに勝ったアフメドフがヘッドで叩きつけて、GK三浦龍輝の反応を破った。
「もちろん狙ってました」と振り返るのは開始1分のゴールをアシストした小竹だ。
 ナイジェリア人の父を持つサイドアタッカーの小竹は今年トップチームに昇格したが、ルヴァン杯は二種登録だった過去2年で3試合に出場していた。今年も公式戦のチャンスはルヴァン杯からで、1回戦のSC相模原戦で、3ー4ー2ー1の右ウイングバックとして起用されると、積極的な仕掛けやシュートでチームに勢いをもたらし、敵地で3ー1の勝利に貢献。ただし、直接ゴールに絡むことはできなかった。

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