■「技術」「駆け引き」「経験」が不足
浦和は総合力としては、おそらく現在の日本女子サッカー界の最強チームである。たとえば、若手中心の日テレ・東京ベレーザに比べれば、ベテランと中堅、若手のバランスがよく取れている。
ただ、残念なのは諸事情により、FW陣が手薄なことだ。
武漢戦で1トップに起用されたのは高橋はなだった。今シーズンはFW起用が増えたとはいえ、本来はCBの選手だ。高橋は、2月の「シービリーブスカップ」でも日本代表に招集されたが、やはりDFとして起用されている。
フィジカルの強さを生かして、最前線でも頑張り続けている。武漢戦でも、相手のCBが激しくプレッシャーをかけてくる中で、120分間奮闘した。
だが、やはり、本来のFWではないので、スペースが与えられない中でシュートに持ち込むような技術や駆け引き、経験が足りない。
たとえば、現在はブライトン&ホーヴアルビオンで活躍している清家貴子のような点取り屋がいてくれたら、相手が守備を固めていても強引に割って入ってシュートに持ち込むことができたかもしれない。あるいは、負傷で長期離脱している大ベテランの安藤梢がいたら、密集の中でも小さなスペースを見つけて、こぼれ球を押しこむようなゴールを決めていたかもしれない……。
つまり、武漢戦は、現在の浦和にとっての唯一の弱点が露呈したゲームということもできるかもしれない。