■ゲーム前から「描いていた」シナリオ
武漢は「スコアレスドローとその後のPK戦」というシナリオをゲーム前から描いていたのだろう。
交代枠を1人残していた武漢は、延長終了間際の120分にそれまでゴールを守っていた丁施(ディン・シュエン)に替えて、PK用のGK陳晟(チェン・チェン)を投入。陳晟は、実際に浦和の6人目の伊藤と8人目の遠藤のキックをストップして勝利に貢献して見せた。
PK戦でのキッカーの選択も戦略的だった。
1人目を姚偉、2人目を呉海燕と両ベテランが務めると(呉海燕は池田にストップされる)、その後は4人目(趙雨欣=ジャオ・ユーシン)と7人目(馬君=マー・ジュン)を除いて、すべて途中交代で入ったフレッシュな選手に蹴らせた。ちなみに、馬君も中国代表で長く活躍した36歳のベテランだ。
つまり、武漢は浦和のミスに助けられたわけでも、幸運に助けられたわけでもなく、ベテランを中心にしっかりとした守備の組織を構築し、その守備戦術を120分間規律を保って遂行し続け、そして、PK戦での勝利という当初のシナリオ通りの勝ち方をしたわけである。