■単なる「不運」ではない
武漢は、開始早々(5分)のエンゲシャのシュート以降、延長後半の117分に飛び出してきたGKの池田をかわして唐涵(タン・ハン)が無人のゴールに向けてシュートするまで、102分間シュートを撃つことすらできなかった。
しかし、浦和は武漢の分厚い守りを崩すことができず、ゲームはスコアレスのまま終わってPK戦に突入。8人目までもつれ込んだ結果、武漢が6対5でこれを制して、ジャイアントキリングを達成した。
サッカーという競技はきわめて得点が入りにくい競技であり、その結果、番狂わせが起こりやすい。僕も、これまでにも大番狂わせを何度も見てきた。
だが、この浦和対武漢の一戦ほどのアップセット(番狂わせ)はなかなかお目にかかれるものではないだろう。それほど、一方的な試合だった。
しかし、だからと言って、浦和にとっての単なる不運。武漢にとってはラッキーだっただけではなかったように思う。
武漢は、浦和との力の差を認めたうえで、徹底した守備の戦略を描き、それを120分にわたって実行し続けた。そしてPK戦まで見据えた戦略も立てていたのだ。そして、浦和はその武漢を攻略できなかった。