■鹿島の攻撃を「無力化」した浦和
第6節の浦和レッズ戦では、鹿島は苦戦を強いられた。スタートダッシュに失敗した浦和は、このところ選手たちのハードワークを前面に出して戦っている。初勝利を挙げたファジアーノ岡山戦でも、個人能力で優位に立つ浦和が運動量で上回って、泥臭い試合で勝利した。
鹿島を相手にも、サイドで押し込み、ボールを奪われると徹底してスペースを消すことによって鹿島の攻撃を無力化した。そして、前半のアディショナルタイムに先制。しっかり守る浦和に対して、後半の途中まで、鹿島は攻撃の糸口を見つけることができなかった。
だが、ハードワークする浦和は、ベテラン選手が多いこともあって、なかなか90分間それを維持することが難しい。岡山戦でも、終盤は岡山に攻め込まれ、決定的なピンチもいくつかあった。
そうした浦和に対して、鹿島は終盤に入ってからはボールを握って相手陣内で戦っていた。
だが、浦和の守備陣の能力も高く、得点への道筋はなかなか見えてこなかった。
そこで、鬼木監督は選手交代とポジションチェンジを繰り返して、なんとか攻め筋を見出だそうとする。
鹿島は鈴木優磨とレオ・セアラの2トップでスタートしたが、まずサイドにチャヴリッチを入れて、しばらくすると鈴木を左サイドに置き、チャヴリッチをトップに配置転換。さらに、若い徳田誉を入れると、最後の時間には鈴木をMFに下げて、ボランチとしてプレーしていた知念慶をトップに上げる。
そして、後半の追加タイムにその知念が貴重な同点ゴールを決めて、ホーム26戦無敗というJリーグ記録を手繰り寄せてみせた。
鬼木監督の勝負師としての勘のようなものが実った同点劇だった。