■開幕前には「懐疑的」な意見も…

 新監督の中で、とくに注目が集まったのが鹿島の監督に就任した鬼木達だった。

 川崎フロンターレの監督として8シーズン戦って、その間にJ1リーグで4度優勝。Jリーグの歴史の中でも名監督の1人であることは間違いない。

 その鬼木監督が鹿島に移ったのだが、鹿島というクラブは伝統的に「常勝」を目指し、勝負に執着する独特のカラーを持つクラブだ。一方、川崎はクラブの方針として攻撃サッカーを志向し続け、前任の風間八宏監督(現、南葛SC監督)の下でショートパスをつなぐスタイルを確立していた。

 そうしたテクニックに優れた選手たちを使ったパス・サッカーで、鬼木監督は川崎を圧倒的な強豪に育て上げた。

 しかし、鹿島は川崎とはスタイルが違う。堅固な守備をベースに堅実な試合運びで勝負に執着する。鬼木監督のスタイルと鹿島のスタイルは、はたして適合するのだろうか? シーズン開幕前にはそんな懐疑的な意見も多かった。しかも、プレシーズンマッチでも結果が残せていなかったことで不安は高まっていた。

 だが、フタを開けてみれば鬼木監督はいかにも鹿島らしいスタイルのチームを作って、結果を出している。

 新戦力として加わったレオ・セアラも、プレシーズンマッチの段階ではチームにフィットしていなかったが、6試合で5ゴールを決めて得点王争いのトップを走っている。

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