■インドネシアは「さらに6人」
UAEだけではない。昨年、出場選手の大半がオランダで生まれ育った「帰化選手」で占められるようになって大躍進したインドネシア(C組3位)は、新任のパトリック・クライファート監督(オランダ)がさらに6人の「帰化選手」を使う方向で動いていると報道されている。同組最下位(6位)ながら勝点ではインドネシアと並んでいる中国も、新たな「帰化選手」の手続きが進められているという。アジアのサッカーはちょっとした「帰化選手ブーム」だ。
ここまで「帰化選手」と書いてきたが、「帰化」という言葉は、サッカー選手の国籍変更にあまりふさわしくないのではないかと私は考えている。もちろん、日本の国籍を管理する法務省は、国籍を他国から日本に変えることを「帰化」と表現しているのだが、「帰化」とは、中国の古典に拠る言葉で、本来は「君主の徳に帰服すること」を意味している。
UAE代表となったブラジル人たちが、ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領の徳に触れ、深く帰服した結果、UAE国籍を求めたわけではないだろう。彼らの最大のモチベーションは、「ワールドカップに出られる可能性」や、「所属クラブで外国人枠から除外される」などの「実利」に違いない。現代的な表現としては、「国籍変更」あるいは(二重国籍を認めている国では)「国籍取得」でいいのではないか。というわけで、以下では「国籍変更選手」とする。