■アジアで最初に「強化」した国

 さて、アジアで最初に「国籍変更選手」によって代表チームを強化したのは日本ではないだろうか。ラモス瑠偉が1989年にブラジルから日本に国籍を変え、1995年まで32試合に出場した。1992年アジアカップ優勝、1993年の「ドーハの悲劇」のときの獅子奮迅ぶりは、ファンの記憶に長く残るものだった。日本代表がアジアのトップクラスに躍り出たのは、まさにこの時期だった。

 彼の前にも、吉村大志郎(ネルソン、日本代表1970~1976)、与那城ジョージ(同1985)が日本サッカーリーグでプレーするうちに日本国籍を取得して日本代表にもなったが、残念ながら日本代表に何らかの歴史的業績を残すことはできなかった。ふたりとも、日本にルーツを持つ「日系ブラジル人」の選手である。

 日本にルーツを持つわけではなく、日本で長くプレーする中で国籍をブラジルから日本に変え、日本代表としても活躍した選手もいる。

(2)へ続く
  1. 1
  2. 2
  3. 3