■試合を経験するたびに「課題が修正」

 日本のFW陣には、ターゲットになるような大型の選手は身長186cmの道脇豊だけだった。

 かつて大型FWだった船越優蔵監督は、高岡伶颯(165cm)や神田奏真(178cm)、井上愛簾(177cm)といった身長の低いテクニシャンタイプを並べ、186cmという高さと強さを兼ね備えた徳田誉(鹿島)は招集されなかった。

 従って、サイドから単純にクロスを上げるような攻撃は有効ではない。

 とすれば、中央でパスを回してフリーの選手を作る形や3列目の選手が飛び出していくような形。さらに、サイドで攻撃を組み立ててから大きく逆サイドに振るなど、攻撃パターンを作ってコンビネーションの精度を上げておく必要があったはずだ。

 だが、今大会ではそうした準備が十分だったようには見えなかった。

 それでも、試合を重ねるごとに選手間の相互理解が深まっていった。中盤では大関友翔がパス回しの中心となって、やや守備的な小倉幸成とバランスを取り、そこにトップ下やサイドに入った佐藤龍之介が絡んでボールがよく回るようになった。

 シリアと引き分けた後、1つ試合を経験するたびに課題が修正していくだけの、選手たちの応用力には目を見張るものがあった。

 だが、フィニッシュ段階でのパターン作りまでは手が回らず、最後まで効率的に得点することはできなかった。イラン戦では開始早々に失点し、前半のうちに追いついて敗戦を避けることはできたが、得点は小倉のミドルシュートという個人能力に頼ったものだった。

(2)へ続く
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