■この数字で「出場権」はむしろ幸運
しかし、それは自ら招いた状況だった。
グループリーグ第2戦でシリアと引き分けてしまったため、準々決勝までターンオーバーを使えなくなってしまったのだ。本来なら、グループリーグ3戦目で主力を休ませておくべきだった。
オーストラリア戦を除けば、日本はすべてのゲームでボール保持率で対戦相手を上回り、自分たちでボールを動かして試合をコントロールする時間が長かった。従って、シリア戦は勝っておくべき試合だったし、イラン戦も90分までに決着をつけるべきだった。
だが、どの試合でもせっかく数多くのチャンスを作りながら、それをゴールという結果に結びつけることができなかった。
結局、日本は5試合を戦って1勝3分1敗、得点6・失点5という成績だった。この数字で無事にワールドカップ出場権を獲得できたのだから、むしろ幸運だったと言わざるを得ない。
日本の選手たちは間違いなく、一番うまかった。
ボールを扱う技術もそうだが、パスを受ける瞬間にしっかりと体の向きを変えたり、次にプレーしやすい場所にゴールを置くことによって、対戦相手は日本選手にプレッシャーをかけられなくなってしまい、結果として日本のボール保持が長くなった。
アジアの強豪と目される韓国やイランに対しても、日本はしっかりとボールを握って落ち着いて攻撃の形を作ることができた。
その優位を生かして攻撃の形を作れなかったのは、チームとしての戦術が確立できていなかったからだ。