■高木践の一瞬の判断が相手の準備不足を招く
このPKは岡山GKスベンド・ブローダーセンに止められるものの、同じく左CKから後半23分にゴールを奪う。山原のキックにうまく合わせることができなかったものの、そのこぼれを高木践が回収。相手に寄せられながらも右から素早く中に折り返し、それに住吉がドンピシャで合わせてみせた。
「岡山は人数がそろっていましたし、高さもあるのですが、高木の一瞬の判断が相手の反応を遅らせました。結果、守備の準備ができなかったことで、住吉はフリーになっています」
その後、ホームで負けられない岡山は球際の部分でより強くいくことによって試合は白熱した展開に。そんな状況でも清水は後半35分に西原源樹と嶋本悠大という18歳コンビをピッチに送り出している。
「アフメド・アフメドフとドウグラス・タンキは戦術的にどっちか一人が出るということでしょうけど、乾貴士や吉田豊らベテランが出ている中でこうした若手も出られる環境はいい循環と雰囲気になっているはず。秋葉忠宏監督のマネジメント力の高さが感じられます」
清水は後半30分にコーナーキックから失点して1-1と引き分けで試合を終えるが、岡山の狙いであるカウンターから失点しなかった。そういう意味で、「修正ポイントはあるものの、また、勝ててはいないもののポジティブな引き分けだったのではないでしょうか」。
次戦、岡山は浦和レッズと、清水はガンバ大阪と対戦する。ともにビッグクラブとのアウェイゲームだが、しっかりと積み重なっていく自信が武器となりそうだ。
(語り:二階堂悠)
【にかいどう・ゆう】
1984年5月17日生まれ。宮城県出身。筑波大学大学院卒業後にメキシコ留学を経て、杭州緑城(中国)のコーチに就任。2014年からモンテディオ山形のコーチ、2017年から川崎フロンターレのコーチを務めた。川崎ではクラブの国内7冠達成に寄与し、24年シーズンを持って同職を退任した。