■「オランダの時代」を象徴するゴール

 さて、ミュンヘンで行われた1988年欧州選手権の決勝戦、相手はソ連。前半フリットのゴールで1点をリードしたオランダは、後半9分に勝利を決定づける2点目を決める。内側でボールを受けて持ち上がった左サイドバックのアドリ・ファンティヘレンが左外に開いたFWアーノルド・ミューレンにパス。ミューレンはワンタッチでペナルティーエリアの右まで大きく振る。

 このとき、ファンバステンはペナルティーやや右よりのポジションに入ってきたところだったが、このボールを見て素早く、さらに右外に移動。自分の体の外側に落ちてくるボールの落下点を見極めると、ジャンプしながら右足ボレーでボールのやや上部を蹴り上げた。放たれたボールは小さく上がり、懸命にジャンプするソ連GKリナト・ダサエフの右手の上を越えると、急激に落ちてゴールネットに突き刺さった。まさに「オランダの時代」を象徴するゴールとなった。

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