■背後から来るボールを「ピタリと止めた!」

 正面から投げられたボールならば、ジャンプしながらでも、インステップに乗せてコントロールする技術は、別に難しいものではない。だが、ロングボールを、しかも走っている後方から送られたボールをコントロールするのは、それとは比較にならないほど難しい。三笘は相手ゴールに向かって全力疾走しながら、背後から来るボールの落下点を正確に見極めて、ピタリと止めたのである。ここにこそ、三笘の「天才」がある。

 フェルブルッヘンがキックした直後、三笘はチェルシー・ゴールに向かって動き出しながら右肩越しにボールを見て、すぐにランニングの方向を相手ゴールラインに向けて直角になるよう修正した。フェルブルッヘンのキックが、まさにその角度だった。すなわち首を回してボールを見ながらも、三笘はボールと同じコースを走っていたことになる。

 そして最後には、ボールはほぼ真上から落ちてくる。三笘は全力疾走しながら顔を上に向けてこのボールを正確にとらえ続けていた。そして1ミリの狂いもないコントロールが生まれるのである。

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