■「辛抱強くやり続けるしかない」

 鬼木体制移行後の鹿島は止める蹴るを重視し、丁寧なビルドアップをしながら人数をかけて前に進んでいくスタイルを目指しているが、ボールを失った時に後ろが手薄になることも少なくない。攻守のバランスをしっかり取れないと、湘南戦のように次々とカウンターを繰り出されることになりがちだ。
 2月22日の次節・東京ヴェルディはまさにそれを得意としているチーム。仮に2戦連敗という結果になってしまったら、鬼木監督も選手たちも一気に逆風にさらされる。指揮官も選手たちも「辛抱強くやり続けるしかない」と口を揃えるが、つねに結果を求められる鹿島にしてみれば、こういった状況が一番の難題と言ってもいいかもしれない。
「僕が川崎にいた時はもうチームが出来上がっていたんで、模索の時期がどうだったのかは分からないですけど、新しいことにチャレンジするのは簡単なことじゃない。今いる選手たちのキャラクターもトライしていることにすぐハマるような感じじゃないと思うんで、自分たちがどれだけ適応できるかという部分も問われてくる。しっかり練習から意識して取り組んでいきたいですね」
 知念も言うように、今の鹿島には鬼木監督が川崎で指導していた技巧派タイプの人材が少ない。それでもこのスタイルを追求しようと思うなら、中途半端な覚悟では難しい。完成形までは長い道のりになる。その厳しさを鹿島は湘南戦で突きつけられたのではないか。
(取材・文/元川悦子)
(後編へ続く)

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