■前半のシュート数にも表れた差

 だが、10分を過ぎたあたりから湘南が守備強度とタテの推進力を前面に押し出すようになる。特に際立っていたのが、昨季2ケタゴールを奪ったスピードスターの福田翔生にゴール前に侵入されたり、昨季まで鹿島に在籍していた右ウイングバック(WB)藤井智也にポケットを取られたりと鹿島の守りがギクシャクし、攻撃の厚みを出せない。前半のシュート数は湘南の9本に対し、鹿島は5本。内容的にも停滞した状態だった。
 それを後半に修正できたらよかったが、2トップになかなかボールが行かない。さらに守備で後手を踏んでいる間に湘南にリズミカルなパス回しを許し、後半19分には手痛い先制点を福田に献上してしまう。柴崎、関川、植田とセンターラインが反応したにも関わらず、ゴールネットを揺らされたのは、鹿島としてはあってはならないことだった。
 そこから鬼木監督は持ち駒の濃野公人や田川享介、徳田誉らを投入したが、攻撃が劇的に改善するには至らない。個人能力の高い選手は数多くいても、それを生かす形が見出せていない…。その課題を露呈したまま、鹿島は重要な初陣を0-1で落とすことになったのである。
「90分通してセットプレー以外でチャンスを作れなかった。プレシーズンマッチからの守備の課題も大きくあるかなとは思います。
 自分たちは相手の5バックを崩すために前に人数をかけた、でもそこで引っかかってカウンターをもろに食らうシーンも結構あった。ミスが起きたり、ボールを奪われたりするのはしょうがないことだと思うけど、どう対応していくのか。それを水戸戦の後にも話し合ってトライしたんですけど、湘南に上回られてしまった」と知念は反省の弁を口にした。

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