■北野颯太の先制点から読み取れるもの
前半7分の北野による得点シーンも畠中が起点として見事な仕事をしたが、結果的にはガンバ側の対応ミスを誘う形で、鮮やかなゴールにつながった。ガンバが自陣の右でボールを持つセレッソに対して、3人がかりでハイプレスをかけてきたのを利用する形で、GKのキム・ジンヒョンをうまく使った畠中がフリーでボールを受ける。この時点で畠中はペナルティエリア内だったが、ガンバは反対サイドからプレスをかけた直後で、畠中と左サイドバックの舩木に対して、右サイドハーフの山下諒也が一人で二人を見る形になってしまっていた。
その状況を生かして持ち上がった畠中は、山下が外側の舩木に引っ張られて縦パスのラインが空いたところを見逃さず、グラウンダーのボールを前に出した。そこのスペースにセレッソの選手はいなかったが、2列目の中央から北野が流れて受け手になると、最終ラインから食い付いてきた中谷がコンタクトするより一瞬早く、ワンタッチで中央をフォローしてきた舩木に落とし、右サイドを経由して前線中央の八トンにボールが出る。
このボールを右サイドバックから中谷のカバーで絞っていた半田が触るが、うまく処理できずにこぼしたボールをボランチから前に上がってきた香川が拾い、中谷にタックルされながらも左にパス。最後は外側のスペースから右足で流し込んだ。
アシストした香川は「ゴール前に入っていくスプリントであったり、そういうところを意識した中で、ボールが前に転がって来ました。あそこに入っていかなきゃ何も生まれないと同時に、自分はああいうところで結果を残してきたという自負がある」と振り返るが、まさしくパパス監督が表現したい多くの選手が絡む攻撃が実った、今シーズン最初のゴールになった。
(取材・文/河治良幸)
(後編へつづく)