■左サイドがもたらす効果
その山原が支える左サイドに新たな槍として加わったのが、セレッソ大阪で圧倒的な突破力を見せてきたブラジル人のカピシャーバだ。とにかくボールを持ったら縦に仕掛けて局面を打開できる。山原は外側から追い越す動きもできるが、どちらかというとインに食い込む動きから、右足で斜め前を目掛けたボールを得意としており、縦に抉るタイプのカピシャーバとはプレーエリアが被りにくい。
さらにカピシャーバは屈強な体と柔軟なコントロールで、ロングボールを収めて前を向くこともできるので、山原の縦パスはもちろん、センターバックやボランチからのシンプルな展開も、これまでより有効になっていきそうだ。そうなると攻撃の大黒柱である乾も”10番”のポジションからあまり下がらずに、より前向きな崩しに関わることができる。ここは清水がJ1を戦う上で、カピシャーバ加入の大きなメリットだろう。
欲を言えば山原がさらに相手陣内の高いエリアに顔を出して、チャンスの起点やラストパスで絡めると良いが、右サイドが左利きの中原輝と縦の推進力のある高木践というコンビであることを考えても、山原が左後方から全体を整えつつ、単騎突破もできるカピシャーバを追い越さずに支えるというメカニズムになるのは良いバランス関係と言えるかもしれない。