鬼木達新監督のサッカーを具現化するために、今の鹿島アントラーズに求められているのが、高い位置でボールを奪い、いい距離感でしっかりとしたつなぎを見せ、敵を凌駕する攻撃を繰り出していくこと。それは川崎フロンターレが圧倒的な強さを誇った時をイメージすれば分かりやすいだろう。
とはいえ、そのスタイルがいきなり完成形になるわけではない。特に鹿島の選手たちはボールを止める・蹴るのベースが確立されていない部分がある。1つのコントロールがズレると、その分、連動性も低下してしまう。選手たちは今、ジレンマを感じながら、いい方向に進もうと、懸命に取り組んでいる様子だ。
1月21日のツエーゲン金沢との練習試合でもそんな印象が見て取れた。1本目に柴崎岳とボランチを組んだ三竿健斗もこんな話をしていた。
「ボランチの距離感が今までより近くなっているんで、より孤立しないところはありますね。ただ、狭いところでボールを受ける場面が増えるんで、そこで失わないことはもちろん、ボールが来る前に相手の誰が寄せてくるかというのを認識していくことも必要ですね。
今日も疲労が溜まってきて、敵が見えなくなり、食われる場面もあった。そこで食われたからといって逃げるんじゃなくて、次、どうしたらいいかっていうのを考えて、またトライして、どんどん成長していければいいと思う。エラーが出るのを気にせず、そこでゲームを作れるようにしたいです」と彼は貪欲に前へ前へ進もうとしているという。