■観客数が示す育成年代の「主従」逆転
そして、同時に強豪校を率いる監督にとっては、結果を出すことは義務でもある。選手のため、チームのためであると同時に、学校のため、そして学校を経営する学校法人のためにも結果を出すことは必須なのだ。
学校法人は、スポーツの全国大会で名を売ることで受験生を増やし、学校の価値を上げることができる。多くの予算を使ってサッカー部強化を進める学校法人のために、監督たちは全国大会で結果を出すことが与えられた任務なのだ。
だが、サッカー強化のため、選手育成のためには、そうした「負けないサッカー」が有効なのかどうかと考えれば疑問にも思える。
もちろん、ノックアウト式トーナメントを経験することは悪いことではない。そこで、球際の激しさとか、メンタル・コントロールといったことを覚えることができる。だから、若い選手たちがリーグ戦とノックアウト式トーナメントの両者を経験しておくべきなのは当然だ。
だが、「育成」という観点からすれば、アグレッシブな戦いができるリーグ戦を「主」、トーナメント方式を「従」と見なすべきなのは間違いない。
だが、少なくとも高校生選手たちにとっては、最大の「主」目標がトーナメント方式の全国高校サッカー選手権大会であるのは間違いない。
リーグ戦形式の大会の最高峰であるはずの高円宮杯プレミアリーグ・ファイナル(12月15日・埼玉スタジアム、大津高校対横浜FCユース)の観客数は3394人。高校サッカー決勝戦のわずか18分の1だった。(3)に続く。