■「サポーターは暴れるもの」あきらめを…
1980年代には、トルシーダもインチャもさまざまな問題を起こした。しかし、欧州で厳格な「フーリガン防止策」が取られ、南米でもセキュリティー対策が実施されて、今世紀にはサッカースタジアムは危険な場所ではなくなった。「仲間」たちが「歓声」を上げる場になったのだ。
その変化には、Jリーグも寄与している。1993年に誕生した日本のプロサッカーリーグ。そこではカラフルでにぎやかで、そして情熱にあふれたサポーターの活動が試合を盛り上げているが、けっして過度になることはなく、互いに攻撃的になることもない。サポーターの応援をファンも楽しみ、プロサッカーの試合が新しい文化として日本の社会に受け入れられ、愛されている…。
欧州や南米のサッカー界では、「サポーターは暴れるもの」と、なかばあきらめムードがあったのだが、Jリーグを見て希望を見いだし、スタジアムを改修したり、サポーター組織とコミュニケーションを取ることで「安全なスタジアム」にしていったのだ。