サッカー日本代表の長年のライバル、韓国代表。つい数年前まで、日本の前に「高い壁」として立ちはだかり続けた。そんな彼らのストロングポイントのひとつといえば、屈強なフィジカルだろう。その肉体をキープするためか、「韓国人は大食漢が多い」と断言するのは、サッカー観戦で数えきれないほど隣国を訪れている蹴球放浪家。韓国代表の強さの秘密かもしれない(?)、その「大食漢ぶり」を、後藤健生が現地からリポートする!
■何かあれば宴会を開いて「数人分」
最近、『朝鮮民衆の社会史——現代韓国の源流を探る』(趙景達著、岩波新書)という本を読みました。
民衆……。支配者でもある「両班(ヤンバン)」と呼ばれる郷紳階級から奴婢、賤民を含む民衆が主人公のはなはだ地味な本ですが、丹念に資料を考証して丁寧に論述した、なかなか面白い本でした。
その中で、「朝鮮の民衆は大食漢だった」ということが紹介されていました(同書30ページ)。
かつて朝鮮を訪れた西洋人の宣教師も、あるいは20世紀に朝鮮を植民地支配した日本人支配者も、口をそろえて、そのように書いているそうです。何かあれば宴会を開き、1人で数人分を平らげてしまうというのです。
「ああ」
僕は、しょっちゅう韓国を訪れていた頃のことを思い出して、納得しました。