■反町康治氏が求める人材
問題は3年ぶりに参戦する今季J1での出来だ。彼は2018年に13ゴールをマークし、森保一監督率いる日本代表にも抜擢された経験があるが、25年は当時を超える数字を残すことが強く求められる。というのも、今季の清水は北川に匹敵する得点源が不在だったからだ。
彼に続くのは、8点のルーカス・ブラガ、6点の矢島慎也、5点のカルリーニョス・ジュニオと乾貴士という状況。だが、ルーカス・ブラガはすでに退団が発表され、他の3人はいずれも30代とフル稼働が難しくなる年齢だ。
目玉補強としてセレッソ大阪からカピシャーバを獲得したものの、彼も点取屋タイプではない。ブルガリア1部・スパルタク・ファルナのアフメド・アフメドフが加入するという報道もあるが、その選手も未知数な存在。”北川依存”にならないとも限らないだけに、全体的な底上げが必要不可欠と言える。
今年5月から故郷のクラブに赴いた反町康治・日本サッカー協会(JFA)前技術委員長は「エスパルスの選手はもともと基本技術が高く、うまい選手が沢山いるが、ハードワークできる人材が少ない。今のサッカー選手は『うまくて、速くて、走れて、しっかりプレーできる選手』がもっと必要」と語っていた。FW陣含めてハードワークを厭わない集団に仕上げていくことが肝要だ。
実際、J1になれば守備の負担が増えるのは間違いない。前線からアグレッシブにプレスに行けてボールを追える前田大然(セルティック)のような選手が多ければ、いい戦いができそうだが、果たして来季の清水はどうなのか。アタッカー陣の献身性と決定力は来季躍進の重要ポイントになりそうだ。