■戒厳軍が市民に発砲「百数十人」の死者
さて、韓国の話に戻りましょう。
僕が初めて韓国を訪れたのは、1982年の3月のこと。ソウル運動場(東大門)で行われる第10回韓日定期戦を観戦するためでした。当時は、韓国渡航にはビザが必要で、韓国大使館に何度か通ってようやくビザを取得することができました。
当時は全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領の時代でした。
1979年に、1961年の軍事クーデター以来、独裁権力を握っていた朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が暗殺されます。全斗煥将軍は事件の捜査に当たっていましたが、軍事クーデターを起こして政権を奪取。戒厳令の下で反対派を弾圧して、1981年に大統領に就任しました。
1980年5月には南部の光州(クァンジュ)で戒厳軍が蜂起した市民に対して発砲。戒厳司令部側の発表で百数十人の死者が出ました(実際の犠牲者は、これより大幅に多かったと言われています)。