■鬼木監督「僕もお礼を言えた」

 チームの今季最終戦は、8日に行われたアビスパ福岡戦だ。その前日、鬼木監督にとってこのチームでの最後の練習が麻生で行われていた。そこに、中村が訪れたのだという。
 福岡戦に向けて念入りに準備を進め、戦い方や戦術を共有。選手やスタッフが翌日の試合に向けてバラバラになり、誰もいなくなった中で、2人だけの時間が設けられた。
「いろいろ話しました」
 鬼木監督が短い言葉で振り返るその時間に、川崎フロンターレを強くするために共闘してきた関係性だからこその会話が繰り広げられた。
「本当にいろんな思いがありました」
 思い出話だけではないその中で、引退試合への出場の返事もしたという。2人にしか分からない感情と想いが、12月14日の競演へと道を描いていった。
 そんな中村への思いが強いからこそ、13日に等々力競技場で行われた「前夜祭」への参加にも踏み切らせた。
「今日(=引退試合)は憲剛が忙しいから、そんなに話す時間とかもないだろうなと思ったので、昨日の練習に出た方がいいかなと。でも、意外と今日も話す時間があったので良かったです」
 時間を決めて話すわけではないが、ふとした時間に言葉をかわしておきたい。そんな気持ちがあったという。
「僕もお礼を言えた」
 そう話す鬼木監督の笑顔は、晴れ晴れとしていた。

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