サッカー日本代表は、2024年のワールドカップ・アジア最終予選(3次予選)を戦い終えた。本大会出場を大きく引き寄せる素晴らしい戦いぶりだったが、サッカージャーナリストの大住良之は、9月からの6試合の中に、運命の岐路となった「一戦」があると指摘する。日本代表の「進化」を感じさせる一連のプレー、「奇跡の10秒」を読み解く!
■鳥肌が立った「2連続」4人プレー
この「4人ブロック」は、それだけでも圧倒的な見応えのある見事なものだったが、驚いたのはそれを連続させたことだった。
守田英正の臀部に当たったボールはやや内側、ペナルティーアークの中に転がり、そこに走り込んできたアイマン・ヤハヤ(23)が左足を思い切って振る。
だが、日本選手たちの足はまったく止まっていなかった。間髪を入れることなく遠藤航⑥、町田浩樹⑯、そして守田英正⑤の3人がボールに向かい、右からは板倉滉④も入ってきてシュートコースを消した。アイマン・ヤハヤ(23)が渾身(こんしん)の力を込めて蹴ったボールは、両腕を体の前にたたんだ遠藤⑥の体に当たって大きくはね返ったのである。<シーン4>
町田のブロックから次のシューター、次のシューターへと連続して襲いかかった日本の守備陣。それは、まるで1羽のどう猛な鷹が羽を広げて次々と小さな鳩に襲いかかるような、鳥肌が立つような光景だった。