■韓国では「高齢化社会」に突入
そして、朝鮮王朝時代には熱烈に儒教を信奉していた国だったので、「儒教精神」も色濃く残っていました。
たとえば、「敬老精神」。
地下鉄やバスで年長者が乗ってきたら、若者が席を譲るのは当たり前。すでに、敬老精神が薄れていた1980年代の日本から韓国に行くと、そのことを痛感したものです。
ところが、最近は韓国でも年寄りに席を譲る若者は少なくなったということを耳にしました。
とにかく、韓国と言うのは社会の変化が速い国です。日本が100年かけて近代化してきた道を、わずか50~60年の間に成し遂げたわけですから……。
そして、韓国はすでに高齢化社会に突入しています。「1人の女性が一生の間に何人の子どもを産むか」を示す特殊出走率で、韓国は0.778で世界192か国中、第191位(最下位は香港)。184位の日本の1.260を大きく下回ります(世界銀行の統計)。
しかも、日本と比べて年金制度が整備されたのが遅いため、韓国では高齢者の多くが貧困にあえいでいます。そして、これほど高齢者が増えてしまったのでは、「年寄りを大事にしよう」という意識が薄れてしまうのは当たり前なのかもしれません。
ですから、韓国では立っている人の荷物を持ってくれるという習慣も、年寄りに席を譲るという習慣も急速に廃れてしまったのです。