サッカー日本代表が快勝した。インドネシア代表とW杯アジア3次予選を戦い、アウェイで4-0で勝利したのだ。その内容と結果は、どのような意味を持ち、そして、代表チームの血肉になったのか。今後、待ち受ける中国戦の展望も含めて、ベテランのサッカージャーナリスト、大住良之と後藤健生が語り合った。
■「見逃さない」試合の呼吸
――左の三笘薫に比べて、右の堂安律はあまり目立ちませんでした。
後藤「この試合では、そうでしたね」
大住「相手が3バックというか5バックになると、なかなか簡単には縦には行けないよね。ボールをもらったときに、相手がかなり近くにいるから」
後藤「三笘のサイドも、そうだったと思うよ。それに相手のウィングバック(左のカルフィン・フェルドンク、右のケビン・ディクス)は2人とも、なかなか良い選手だった」
――だからこそ中央の崩しへの評価が、より高まるわけですね。
後藤「全体の状況を見ながら、あそこで隙間をつくろうといろいろ手を尽くして、最後には仕留めてしまったからね」
大住「あの前の状況を見ていたら、崩せるとは思えなかった。大したものだよ」
後藤「最終ラインや遠藤航から鎌田大地に縦につけるパスを何度も出して試しながら、だんだん隙間を広げていった。先制点の場面でたまたまうまくいったんじゃなくて、きちんと考えてプレーして、そういうコースをつくったわけだからね」
大住「しかも、雨がやむのを待っていたかのようだった。雨がやんだ2分後に点が入っているんだよ。選手たちとしては、やりやすくなったのかな。9月の中国戦でも、相手が交代に失敗して混乱しているうちに得点を奪った。そういう、試合の呼吸とでも言うべきものを見逃さなかった。後半に入って守田英正が決めた3点目だって、なんて落ち着き払っているんだろうと思ったよ」