■新国立で「初のメジャータイトル」
半世紀近くにわたる歴史で、「元日・国立」は、サッカーファンの生活に完全に刷り込まれたものになっていたのである。
以後、2020年元日に、落成したばかりの国立競技場で第99回天皇杯の決勝戦が行われるまで、会場はさまざまに変わった。第95回大会(2015年度)の決勝戦は、味の素スタジアムで開催された。翌年は、完成したばかりの吹田サッカー場だった。そして第98回、第99回の2大会は、埼玉スタジアムが決勝戦の会場となった。
それでも、開催日は原則として「元日」だった。しかし、2018年度の第98回大会は、2019年アジアカップ(UAE)がまた1月開幕となったため、Jリーグ最終節の翌週、12月9日に行われた。埼玉スタジアムでの現時点での「最後の天皇杯決勝」は、浦和レッズ×ベガルタ仙台。浦和が1-0で勝ち、スタジアムは大きく沸いた。
「新国立」に戻った第99回大会(2019年度、2020年元日)は、5万7597人の大観衆の前でヴィッセル神戸が鹿島アントラーズを2-1で下し、初のメジャータイトルを獲得した。だが、この後、世界は「新型コロナウイルス」の脅威にさらされ、日本では数か月間の「完全中断」の後で試合は再開されたものの、入場者数は制限され、声を出しての応援は禁止され、天皇杯決勝も寂しいものとなった。