■順当だった「重量級同士」の争い
浦和のGK西川周作が再三ビッグセーブを見せて広島の得点を阻み続けたが、「この勢いなら、いつかは得点できる」と誰もが思っていた。
神戸が逃げ切って勝利し、広島が得点を決めて勝利すれば、2024年シーズンのJ1リーグの優勝争いは完全に神戸と広島に絞られる。
昨シーズンのチャンピオンである神戸と、2年連続3位の広島……。現在のJ1リーグの2強といってもいい両チームだ。その重量級同士の優勝争いは順当なものだし、最後の2節も大いに楽しめると思っていた。
ところが、味の素スタジアムでは守りに入った神戸に対して、今シーズン大躍進の東京Vが真っ向から反撃を仕掛け、後半アディショナルタイム(90+1分)には山見大登が入れたシュート性のクロスがマテウス・トゥーレルに当たってオウンゴールとなって、神戸は勝点2を失った。
そうなると、広島が浦和相手に勝利すれば、勝点で並んで、得失点差で上回る広島が首位に返り咲き、「同勝点での優勝争い」という願ってもない形になるはずだった。
ところが、猛攻を仕掛ける広島はどうしてもゴールを決められず、前半終了間際の45分に浦和の関根貴大が入れたロングボールを追った松尾佑介が広島の中野就斗と入れ替わるようにフリーになり、最後は落ち着いて決めて浦和が1点リードした状態でハーフタイムを迎えることになった。