■田中は鎌田投入後に持ち味出す

 特に攻守両面で異彩を放っている守田英正スポルティング)を外すことには大きなリスクが伴った。案の定、序盤の日本は思うような組み立てができず、相手の激しい球際と寄せに苦しんだ。相手が長いボールを使ってくる中、遠藤航リバプール)が反らしたボールを田中碧がフォローしたり、逆に田中碧が失ったボールを遠藤が奪い返すといった相互関係は見られたものの、攻めに関してはやや停滞感も拭えなかった。
「3(枚)で回して前進するっていうのが最初狙いで自分高い位置を取ったんですけど、プレッシャーかかりながら運んでたんで、そうなるとタテパスが長いパスになってしまう。そこは4に変えるところも必要だったかなと思いながら、多少は変えながらできたかなと。長いタテを取られた部分はもう少し早く変化をつけるべきだったかなと思います」と本人も狙いを打ち明けた。が、4バックのダブルボランチのようなスムーズさが欠けていたようにも見受けられた。
 彼は10月のオーストラリア戦(埼玉)で守田と組んだ時も、3バックの2ボランチ特有の動きに難しさを吐露していた。それを克服するため、10~11月にかけて3バックのチームの動画を数多くチェックし、自分なりに最適解を模索したという。
 その成果もあって、確かに遠藤とのコンビはいい部分もあったが、田中碧本来の攻撃力が前面に出たのは、鎌田が入った後半19分以降。板倉、遠藤、鎌田との連携からフィニッシュに持ち込んだシーンなどは理想的な崩しだった。
 そういう形を多く出せるようになれば、遠藤・守田と3枚でボランチを回す形も作れるはず。この日は強烈アピールができたとは言い切れなかったが、1つの前向きな布石は打てたのではないか。

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