■久保建英が口にした収穫とは
一方で、田中碧と遠藤の前にいた久保は前半から攻撃をけん引。右の伊東と立ち位置を変えながら積極的にゴールに突き進んでいった。日本最初のビッグチャンスだった前半25分の中村敬斗のペナルティエリアからの強烈シュートも久保がスルーパスを出しているし、先制点につながった左CKも彼自身が強引なドリブルシュートから奪ったもの。そして貴重な小川の先制弾をお膳立てしたのだから、前半は上々だったと言っていい。
「悪くなかったと思いますね。僕らの理想の入りではなかったですし、また違った理由でやっぱりうまくいかない時間帯がありましたけど、僕個人のところで何回か打開できるシーンがあった。チームが苦しい時、うまくいかない時に個人のところで打開できるっていうのはいい収穫かなと思います」と本人も強調。できることなら、自身のゴールを奪ってくれれば理想的だったが、そこは次への課題と言っていい。
久保がいるとリスタートの精度が一気に上がるというのは大きなメリットだ。彼の左足はやはり相手にとって脅威である。この最終予選で日本のセットプレーの得点が増えているのも、彼の存在とは無関係ではない。
今はまだ鎌田との併用という位置づけではあるが、久保が準主力なのは誰もが認めるところ。2025年はもう一段階ステップアップして、鎌田がやっているようなタメを作り、リズムを変え、周りを生かしながら自らも生きるような仕事ができるような幅を身に着けてほしいものである。
(取材・文/元川悦子)
(後編へつづく)