■控える大橋祐紀と古橋亨梧
一方で、1~2月のアジアカップ(カタール)のインドネシア戦を見ると、相手最終ラインが比較的高い位置を取っている時間帯も少なくなかった。その背後を突くべく、GK鈴木彩艶(パルマ)やDF陣が素早くロングフィードを前線に送り、そこに堂安や伊東が走り込んでビッグチャンスにつなげており、上田のゴールにもつながっていた。
今回もこういった形を想定しておく必要がある。小川にしてみれば、高温多湿の環境下で数多くのアップダウンを要求されることになるが、ハードワークというのは日本代表エースFWを目指すうえで必須な要素。その部分は上田より少し劣るという評価もあるだけに、今回のゲームでそれを覆したい。上田から定位置を奪い取り、1年半後のW杯本番で輝ける布石を打つべく、彼はこれまで以上の存在感を示すしかない。
もちろん小川が90分フル出場するとは限らないから、控えている大橋祐紀(ブラックバーン)、古橋亨梧(セルティック)の力も必要になる。試合展開にもよるが、後半途中から小川と同タイプを起用したければ大橋、全く違う背後への抜け出しを重視するなら古橋というチョイスになる。特に古橋にとっては1年ぶりの代表復帰でプレーの幅が広がったところを示さないと生き残りは叶わない。それは本人が誰よりもよくわかっているはず。「裏抜けだけではない点取屋」の一面をぜひともこの一戦で印象づけ、日本を勝利へと導いてほしいものである。
(取材・文/元川悦子)
(後編へつづく)