■安い食材は「安全基準がいい加減」
そんなわけで、アジアカップのときを懐かしんで、僕はまたハノイの庶民地区に泊まるつもりでした。
そうしたら、その情報省の女性がこう言ったのです。
「あの辺で食事するんだったら、野菜は食べないほうがいいですよ」
どういうわけかと言うと、ベトナムの安い食材は安全基準がいい加減で、野菜は農薬まみれだから、だそうです。
なるほど……。目の前にいる、女性官僚のようなエリート層の間では健康志向が高まっていて、食材の安心に心を砕いているのでしょう。それで、「庶民街の食材は安全ではない」と思っているというわけです。
僕は、「ありがとうございます。なるべく食べないようにします」と話を合わせておきましたが、実際には生野菜をバリバリと食べてしまいました。フォーに乗っているパクチーなど美味しいですからね……。
それに、ずっとそこに住んで、そこで食事をしているのなら気をつける必要があるかもしれませんが、ほんの数日の滞在なら農薬が蓄積することもないでしょう……。