■若い女性が「どこに泊まるんですか」
さて、バンコク経由でハノイのノイバイ空港に到着したのは、20時過ぎのことでした。もう、あたりは真っ暗です。
入国審査を済ませて到着ロビーに出たところで、突然、呼び止められました。そこには情報省の職員だという若い女性が待っていたのです。
報道ビザを取ったので、その連絡が情報省に行ったのでしょう。報道ビザを取って海外に行ったことはそれまでにも何度もありましたし、その後も何度かあります。しかし、現地の政府職員が接触してきたことは初めてでした。
「いったい、何事! 何か嫌疑でもかけられているのか?」
ちょっと狼狽えましたが、でも、まあ、若い女性の歓迎を受けたわけですから、喜んでおくことにしました。さらに、女性官僚は「車で市内までお送りします」と言うではありませんか。これで、タクシー代も浮くというわけです……。
で、「どこに泊まるんですか」と聞かれました。
先ほども書きましたが、7月にアジアカップがあって、グループリーグから準決勝まで日本はハノイで戦ったので、僕はハノイに17泊もしました。
そのときはハノイ駅の近くの庶民的な街の家族経営のホテルに泊まっていました。ホテルの人たちもとても親切でしたし、部屋の鍵など締める必要もないようなアットホームな雰囲気。しかも、周囲には安くて美味しい食べ物屋が軒を接していましたし、そんな中にお洒落な欧風のカフェなどもあって、とても居心地の良い滞在でした。