■ACLエリート上海戦で見えた「ヒント」
そんな川崎は、鹿島戦から中3日で迎えたACLエリート第4節で中国の上海海港FCと対戦して3対1で勝利した。
この試合の前半は、川崎が完全に試合をコントロールした。前線からのプレスで相手を混乱に陥れ、ボールを奪われてもトランジション(攻守の切り替え)の早さですぐにボールを回収。全盛期と同じように、軽快なリズムでパスが回り、そして前線のエリソンやサイドに展開する長いパスも織り交ぜて攻撃を続けた。
12分には左サイドバックの三浦颯太がスピードドリブルで突破し、相手DFが跳ね返したボールを家長昭博が決めて先制すると、13分にも橘田健人からトップのエリソンに縦パスが通り、エリソンの強いシュートを相手GKの顔駿凌が弾いたところをトップ起用された瀬川祐輔が決めて2点目。そして、33分にもエリソンが折り返したボールを瀬川がスルーして、上がってきたサイドバックのファンウェルメルスケルケン際が決めて3点目を奪った。
後半は、リスクを取って攻撃に転じた上海海港の攻撃に危険な場面も多かったが、守備陣が踏ん張って1失点で凌いで勝利。
まるで、鹿島戦とは逆の展開で、同じ3対1のスコアの勝利となった。
実は、上海海港は11月2日の土曜日に天津を破って中国超級聯賽(スーパーリーグ)の優勝を決めたばかり。中2日の試合であり、リーグ優勝を決めた直後。さらに、負傷者もあり、エースの武磊(ウー・レイ)も体調不良で帰国と、チーム状態が良くなかった。
上海を率いるケビン・マスカット監督(横浜F・マリノス元監督)は「前半はメンタルの問題があり、川崎にプレスをかけられると、すぐにボールを下げてしまった」と語っていた。そもそも、中国のチームは川崎のようなパス回しやハイプレスを経験していないし、対策も十分ではない。そういう相手と戦えば、川崎のパス・サッカーは輝くことができるのだ。
それを、分析・対策が進んでいるJリーグ勢相手にも見せることができるかどうか。王者復活のためには、それが問題となるはずだ。