■「鹿島戦に出なかった選手は試されている部分もあった」

 鬼木達監督は鹿島戦から、出場停止中のFWマルシーニョを含めて先発を5人入れ替えた。リザーブのまま90分を終えた鹿島戦から一転、ゲームキャプテンとしてフル出場したDF丸山祐市は試合後にこんな言葉を残している。
「自分も含めて、鹿島戦に出なかった選手は試されている部分もあったと思う」
 鹿島戦で途中出場だった瀬川、ベンチ外だった際が奮起してゴールを決めた。いい意味での競争意識がチーム内で煽られ、再び中3日の9日に敵地で待っている、京都サンガF.C.とのJ1リーグ第36節へ向けて好循環が脈打っていく。
「相手があってのことなので、今日と同じ感じでいってもうまくいくとは限らないけど、サッカー以前の部分、たとえば気持ちの強さや戦う姿勢はどんなときでも疎かにしちゃいけない。まずはそこでしっかりと戦えるように準備していきたい」
 今後へ向けてこのように気持ちを新たにした佐々木は、ハードワークを続けた影響からか、足の痙攣が治まらなくなった85分に自らダメ出ししてDFジェジエウと交代した。それでも試合後には、京都との次戦へ向けて問題ないと笑った。
「恩師の曺さんが率いる京都戦は、自分のオウンゴールで負けた試合以来、なかなか出られていないので。今回は勝ち点で並んでいるし、勝って引き離したい」
 流通経済大時代にコーチだった曺貴裁監督が率いる京都とは勝ち点44で並び、得失点差で川崎が暫定11位、京都が同13位という状況で対峙する。
 京都戦での佐々木の先発は記憶通りに0-1で敗れた、ルーキーだった2022シーズン第16節が現時点で最初にして最後。川崎の最終ラインを支えてきた佐々木は、上海海港戦を介してチーム全員が共有した勝利への合言葉に、恩師に成長した姿を見せる個人的なモチベーションを融合させながら、京都戦のキックオフを待つ。
(取材・文/藤江直人)

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