希望に満ちた先制点は、矢島慎也の右足が起点だった。モンテディオ山形陣内の右サイド、乾貴士とパス交換した矢島は、ペナルティエリア内の浅いエリア目掛けてクロスを入れる。
相手DFが頭ではね返せずに流れたところ、カルリーニョス・ジュニオがトラップして右足で強烈なシュートを放つ。相手GKも弾くことしかできなかったところに、北川航也が詰めて押し込む。それまで何度もチャンスを作りながらゴールネットを揺らすことができなかったが、矢島の素早い判断がゴールに結びついたのだった。
「勝ちにいく状況だったので、点を取りに行く」
矢島自身に途中出場時のイメージを聞けば、そう答える。7月中盤以降のほとんどの試合を途中出場としている矢島だが、その技術や戦術眼はたしか。この場面も、「自分たちが押し込んだときにクロスが少ないってのは、このチームに圧倒的にある」と感じていたからこそ、「(北川)航也が駆け引きとかしてくれたり、彼も逆からヘディング強いんで、とりあえず入れてみて、跳ね返されたとしても、今日みたいにセカンドボールから相手の陣形は崩れてくる。クロスを蹴って回収して、また二次攻撃、三次攻撃みたいなのも絶対に必要なので。そこでシンプルにクロスをあげようと思った」と振り返り、得点をチームにもたらすイメージを説明してみせた。