■「先を見据えてとかいう立場じゃないんです」

 矢島慎也は、直近の水戸ホーリーホック戦でもチームに勢いをもたらしていた。この試合もJ1昇格を懸けていたが、前半のうちに2点を追いかけるまさかの展開に。それでも後半2分に1点を返すと、同37分に矢島が同点弾をゲット。負けを回避して、J1に向けての貴重な勝点1を手繰り寄せている。
 その矢島にとって、山形戦の逆転はどう見えたのか。失点場面についての振り返りをしながらも、「僕がやっぱり一番気になるのは……」と思いの丈を話す。矢島によれば、選手一人ひとりのチームの勝たせたいというガムシャラな思いが、逆に苦しい展開にもなる可能性があるというのだ。
「追いかけようとか、点が必要なときに絶対に自分がやってやろうみたいな感じで行ってしまう」
 つまり、スコア的に相手を追いかける時間での攻撃面でのゲームコントロール。J1昇格を果たすため、そしてJ2優勝を手にするために、この課題を見つめ直す必要がありそうだ。
 矢島が提起した課題は、J1昇格だけでなく、来季挑むであろうJ1の舞台でも必要になるはず。そう矢島に尋ねれば、「申し訳ないけど、先を見据えてとかいう立場じゃないんです」と返す。
 というのも、「次の1試合に勝っていかないと。昇格もまだ決まってないし、何も成し遂げてない」から。チームやサポーターが望むJ1昇格を確実に成し遂げることを、そのために目の前の1勝をしっかりと取りにいくことを、矢島は何よりも強く見据えているのだ。

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