■ゴゴォーン、ゴゴォーンという「雷鳴」

 その大会の開幕戦を見るために、ラゴスに到着しました。僕は、海岸近くのフェデラル・ホテルという大きなホテルに宿泊していました。なにしろ、治安が悪いという評判のナイジェリアですから、緊張のしっぱなしです。

 しかも、日本人記者団は日本の初戦が行われる北部のカノに入っているので、ラゴスには日本人は誰もいません……。

 そんな心細い思いをしながら、フェデラル・ホテルのベランダから、僕は景色を見ていました。ラゴスの「ラゴ」とは、スペイン語で湖のことです。つまり、大西洋とラゴス市街の間に海とつながった湖(潟湖)がいくつか点在しているのです。英語で言えばラグーンですね。

 そのラグーンに地元の漁師たちの船が行き来していました。岸辺にはヤシの木が連なり、とてものどかな光景でした。

 しかし、のどかさは長くは続きませんでした。雲が湧き出したと思ったら、たちまち空は黒い雲で覆われてしまいました。そして、ゴゴォーン、ゴゴォーンという雷鳴が轟きわたり、稲光が見えてきました。

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