試合後のロッカールーム。うなだれる選手たちへ向けて、川崎フロンターレの鬼木達監督が檄を飛ばした光景だけは覚えている。実際にどのような言葉をかけられたのか。右センターバックで先発フル出場した佐々木旭が打ち明ける。
「話はあったんですけど、頭に入ってこなくて……」
脳裏を駆け巡っていた悔しさが、自分自身へ募らせた不甲斐なさが、佐々木の耳をふさいでいた。ホームのUvanceスタジアムにアルビレックス新潟を迎えた、13日のYBCルヴァンカップ準決勝第2戦で0-2と完敗。2戦合計1-6で敗退が、そして今シーズンの無冠が決まった直後のひとコマだった。
敵地・デンカビッグスワンスタジアムで、9日に行われた第1戦を1-4で落としていた。11月2日に国立競技場で待つ決勝へ進むための条件は、選手全員の頭のなかに入っていた。迎えた31分。与えてはいけない先制点を奪われてしまった。
左サイドでのスローインをつなごうとした直後に、新潟のボランチ宮本英治がカット。ワンタッチで前方にいたトップ下の長谷川元希へつなぐ。川崎の選手たちのほぼ全員が前がかりになっていた状況で、最終ラインの裏ががら空きになった。