■後半に入って「45分間」攻撃するも…
確かに、前半の東京Vには戦う姿勢が欠けていた。残留のために必死な湘南に押し込まれ、主導権を握られてしまい、辛うじてゴール前での守備で耐えてはいたものの、32分に湘南に先制ゴールを決められた。
湘南の左サイドでDFの鈴木淳之介からの深いパスが、ペナルティーエリアに走り込んだシャドーの小野瀬康介に渡り、小野瀬がタメを作ってから右に送ったパスを後方から上がってきたウィングバックの鈴木雄斗(以降、鈴木雄)が決めたもの。その、鈴木雄が走り込んでくる動きに東京Vの選手が誰も付いてこられなかった(付いていかなかった)のだ。
「話にならない」(城福監督)前半だった。
ハーフタイムにはハッパをかけられたのだろう。後半に入ると東京Vの選手からはアグレッシブな姿勢が見られるようになり、45分間攻撃を続けたが、GKの上福元直人をはじめ、湘南の守備陣が体を張って守り切り、逆にカウンターから福田翔生がドリブルで運んだボールを鈴木章斗が決めて2対0で湘南が勝利した(後半の湘南のシュートは、この1本だけ)。
確かに、東京Vは後半には立て直し、数多くのチャンスを作った。だが、前半の入り方の悪さが最後まで尾を引いてしまった。そんな試合だった。
昨シーズン以来、城福監督が求めてきた、戦う姿勢が見られなかった前半。監督がご立腹なのも当然だ。
「ツラい練習で頭から湯気を出している選手」を起用しなければいけないと城福監督は語ったが、いつも熱い言葉を口にする城福監督自身の頭から湯気が立っていなかったのが、むしろ意外だった。