スポーツ競技で勝つためには、心身の充実が必要だ。フィジカル、メンタルともに相手を上回ってこそ、勝利を手にできる。もしも、どちらかが欠けていたなら、諸刃の剣となって自分に襲いかかってくることもある。そうした厳しい現実を突きつけられた「サッカー秋の陣」について、サッカージャーナリスト後藤健生が考察する。
■城福監督が投げかけた「厳しい言葉」
東京ヴェルディの城福浩監督が選手たちに対して厳しい言葉を投げかけた。10月6日に行われたJ1リーグ第33節で湘南ベルマーレに敗れた後の記者会見でのことだ。
2024年シーズン、16年ぶりにJ1に復帰した東京Vだったが、開幕前には「残留は厳しいのでは」という予想が多数を占めていた。若い選手が多く、戦力的に苦しいと思われたのだ。
だが、開幕直後から東京Vは強豪相手に真っ向勝負を繰り返していく。守備を固めたり、小細工をろうしたりせずに、また、無駄な反則などはせずに、J1の強豪に立ち向かい続け、そうした中で選手たちが成長していった。
山田楓喜や木村勇大といった新戦力の加入もあったが、選手個々の戦う姿勢が成長を促し、戦力がアップ。次第に順位も上げていった。第32節終了時点で7位。8月後半からは6戦負けなし(4勝2分)と好調をキープしていた。
その東京Vが、残留争いを抜け出そうと必死な湘南相手に完敗を喫したのだ。
城福監督が問題にしたのは結果ではない。「失点の場面で歩いている選手がいた」と、選手たちの戦う姿勢を問題にしたのだ。