■最前線のFWに求められたもの

 ご存じの通り、今季も上田はサンティアゴ・ヒメネスの控えという立場からシーズンをスタートさせたが、そのメキシコ人FWが9月下旬に負傷。9月28日のNACブレダ戦から名門の1トップを張っている。
「今、勝負だと思うんで。体の準備だけはしっかりして、最大限、パフォーマンスを発揮するというのは意識しています」と本人も意気込みを新たにしている。
 そんな時の代表戦だけに、より存在感を強烈にアピールしたいと思うはず。前半はこの決定機と前半17分に遠藤航(スルーパス)に抜け出したシーンを逃しているだけに、後半は確実に巡ってきた仕留める必要があった。
 しかしながら、日本はハーフタイムに引いてブロックを作る戦い方を確認。後半は相手により一層、保持される展開をあえて選択した。90分通してのポゼッション率はサウジが56.7%、日本が43.3%と大きく下回った。
 そうなると、最前線のFWに求められるのは、体を張ってボールを収め、仲間が上がってくる時間を稼ぐこと。ある意味、黒子の仕事ではあるが、それができてこそ、チームが円滑に回る。森保一監督から「綺世は多彩なゴールパターンがあるし、シュートもうまいが、それ以外の部分に課題がある」と前々から指摘されていた分、こういう時こそ、ターゲットマンとしてのタスクを確実にしなければならなかった。

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